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932 名前:名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:21/05/05(水)17:58:53 ID:ts.zi.L1
中学校での同級生。
中学校まで俺ははもやし少年だった。
中学で試験的に柔道の授業がとりあげられることになり、ほんの1学期間だけ行われた。
空手と柔道をかじっているのが自慢な同級生Aという男がいた。
クラス内でそういった武道をやってる者がそいつだけだったことで、そのAは今の言葉でいうと、大変イキっていた。
俺のようなもやしをわざわざ相手どり、根性鍛えなおしてやると口癖のように。
柔道とは名ばかり。先生や指導員の見えないところで拳が飛んでくると言ったこともよくあった。
体にあざができても「柔道がんばってんな!」「いい機会だから鍛えなおせ」としか大人たちには言われなかった。
俺たちもやしは先生たちにも何も言えずに期間が終了するのを待つしかなかった。
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けど、当時の俺は何を思ったか一念発起してしまった。
休みや放課後を利用して身体を鍛えはじめた。
理由はシンプルに、柔道の期間が終わるまでにやつに一泡吹かせたい。
ふつうに考えれば、長い期間鍛え、さらに本格的に柔道を習わなければ不可能だっただろうけど、当時の俺は謎の自信に満ちていた。
中二病に近いものがあったのだろうか。
そして柔道最後の授業の日。
柔道指導の功労者()のAに感謝()をという名目で何人か連続でAに挑戦するという企画が催された。
ひとりでもAを転ばせれば挑戦者の勝ち、ということで。
俺は真っ先に名乗り出た。
もちろんクラス中から笑われたけど、熱意を買ってくれたのか、指導員が指名してくれたので最初の挑戦者になれた。
結果から言うとやはりまるでかなわなかった。
けれど、俺はずいぶん長いこと耐えたらしい。後で聞いたところによるとおよそ3分強、転ばされずに組み合ったとか。
そのことで称賛され、クラス中から拍手を受けた。
でも俺自身は最後まで何もできず、最後は無残に転ばされたので一矢も報いてないと思ってるから複雑な気持ちだったけど。
その数ヶ月の努力や、その後でも根付いた習慣があって、やがて俺は「もやし」のカテゴリーから脱した。
別にクラスのヒエラルキーが変わるといったことはなかったけど、その後進学した先などでもやし扱いされることは絶対なかった。
最近になって、あの一連のことがあったから身心ともに健康に生きられていると思うと、ようやく当時の自分を褒めたくなったし、
また同級生Aについても感謝に近い感情を覚えるようになった。
ところが。
先日公園を歩いていると前から歩いてきた男とすれ違ったと思ったら、後ろから蹴り倒されたか、押し倒されて一発殴られた。
「相変わらずもやしやなw」という言葉だけ聞き取れたけど、このときは何が起こったのかわからなかった。
正気に戻ったあと交番で被害報告をしていると、だんだんと過去の記憶と一致してきた。
あれは同級生Aだった。間違いない。
あれから20年近くも経とうというのにこの始末。
あんなやつに勝ちたくて必死に努力したのかと思うと、当時の思い出がスーパー馬鹿らしく感じるようになった。
っていうか、学生の間でも同じ事やったら障害事件なのに、それをちゃんと対処しない風潮にも問題あるよね。
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