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2020年05月02日

修羅場27-995 青年は、腕の中の娘ばかり見ていたのだ

今までにあった修羅場を語れ【その27】
https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1553414878/


995 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/05/01(金)14:43:59 ID:RCI
30年前の修羅場

ちょうどゴールデンウィークに入った頃、もうすぐ1歳になる娘を抱いて散歩に出掛けた。
散歩といっても1kmにも満たないご近所一周コース。
ポカポカしたいかにも散歩日和な天気。前日まで2〜3日雨が続いていたので久しぶりのお散歩で、娘も上機嫌。
ご近所はまとまった土地が売りに出された関係で建設ラッシュだったが、それも終盤戦。
我が家はそのなかではかなり早く建ったクチで、周りは外観だけ出来上がったままゴールデンウィークに突入した家が多かった。
道路を一本挟むと昔ながらの家が並んでいて、そこの1つによくしてくれる親戚の夫妻が住んでいて、困ったときは頼れるいい環境だった。





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娘とキャッキャしながら歩いていると、「すいませーん」と声を掛けられた。
振り向けば、反対車線にいる車の運転席から青年が手を振っている。
「どうしましたぁ?」と応えると、隣の組の公民館の近くに住む知り合いの家に行きたいが、迷ってしまったのだと言う。
ちょうど車の進行方向200mくらいに公民館があり、その日は公民館でなにか集会があったはずだった。
そのように伝えている最中、青年の顔が変化していくのがわかった。
爽やかな笑顔を浮かべていたはずが、口の端が釣り上がってピクピク動き、目はなんだかギラギラしはじめる。
それじゃ!と断って車の進行方向とは逆にある我が家へと向かうと、車も発進。
しかし、すぐ近くの空き地で方向転換して母の横へ車を寄せ、ジリジリ運転で着いてくる。
「すいませぇん……公民館はぁ……」と妙に間延びした話し方に変わった青年に、背筋が粟立つ。
何より、青年と目が合わなくなっていた。
青年は、腕の中の娘ばかり見ていたのだ。

996 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/05/01(金)14:44:28 ID:RCI
それに気付いた瞬間、反射的に車の後方に向けて駆け出した。
バックにギアを入れるにしろ、方向転換するにしろ、そちらへ向かうなら車よりヒトの方が小回りが効く。
開け放たれた車の窓からは悲鳴のような青年の奇声が上がった。
その時いた場所は、空き家が立ち並ぶ区画の端っこで、角を曲がって100mも走れば親戚の家があった。
逆方向になってしまった我が家より、そっちの方が近い!
必死の思いで娘を抱えて走った。
人生でその時が一番速かったと言い切れるくらい走った。
車が方向転換する音がする。
エンジンが吹かされる音も。
タイヤのぎゅるぎゅるという音に、なにも知らない娘が腕の中で笑う。
頭の中にあるのは、『この子を守れるのは、いま、この場で、私だけ!!』という必死の想いだけだった。

必死で親戚の家の生け垣をくぐると、庭いじりをしていたおじさんが驚いて振り返った。
「どうしたね!?」
その瞬間、生け垣の前を猛スピードで車が通り過ぎる。
ガクガクと笑う膝、唇も震えて、言葉が出てこない。
その様子を見ておじさんは慌てて家の中へ入れてくれ、慌てて出てきたおばさんが、抱きしめながらわけを聞いてくれた。

その間も家の前を見張るように通り過ぎる青年の車。音からして家の周りをぐるぐるしているようだった。

そして事情を聞いたおじさんはすぐに警察に通報。
青年は隣市の精神病院の入院患者で、見舞いに来た親戚の車を強奪し、病院関係者を殴って脱出、逃亡中だった。

すぐにパトカーが駆けつけ、おじさんの家の周囲を彷徨いていた青年を確保。
それまで家の中でおじさんは模造刀、おばさんはすりこ木と雪平鍋を握りしめて警戒し、震える母子を守っていてくれた。

以上が、いまや60手前の母が若いお母さんだったときの修羅場だ。
母に抱かれ、青年に狙われ、爆走する車のタイヤ音に喜んでいたアホな赤子が私である。
今年は状況が状況で実家に帰れそうに無いため、今住んでいる地域の特産品を贈ったのだが、それをおじさんおばさん夫婦におすそわけしてきたといって電話してきた母が思い出話をしてくれたので、まとめてみた。

どうです、普段ぽやぽやした母ですが、カッコイイでしょう。おじさんとおばさんもカッコイイでしょう。自慢です。

それはそうとて、普段から好きなわけではないのだが、たまにF1なんかをテレビで見ると、つい音を楽しんでしまうのはこのせいなのか……?なんて、蛇足。


posted by 管理人 at 00:22 | Comment(0) | 修羅場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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